現時点では人間関係において不満が無い人に着目して欲しいこと:
1.人間関係において不満が無い人は、何に着目すれば良いだろうか?
・自分と相手の「価値観」に着目して欲しい。
次に、「どうして、自分と相手の価値観を知ることが重要なのか?」の内容を説明する。
2.どうして、自分と相手の価値観を知ることが重要なのか?
(1)最初に、自分の過去を振返り、自分にとって大切な「価値観」(捨てられない「こだわり」)を、しっかり自覚することは生きていく上で重要な出発点となる。
自分自身の生涯を貫く「価値観」は、自分の個性を形成しており、「感じ方」「考え方」「判断基準」を決めている。
「価値観」は、自分の過去も現在も、そして未来の自分にも影響を与えるものである。
そのことを、まずはっきり理解することが、現在日本の「ストレス社会」を生き抜くための第一歩となる。
(2)次に、自分が「相手」の「価値観」を知ることは、現在日本の「ストレス社会」を生き抜くために大切な次の一歩となる。
ところで、現在の日本人で、自給自足している人は誰もいない。
生きていく上で欠かせない「水」や「食料」を、自分一人で賄える人は皆無である。
それだけでは無い。
より良い生活を営むための「エネルギー」(電気・ガス)や種々の生活用品など、身の回りの物全ては、高度に分業された人達の「手間」と「ノウハウ」の結実である。
また、輸入品のことを考えれば、日本だけでなく世界中の人達のお陰だと考えられる。
すなわち、「一人で生きている人は、誰もいない」と言える。
(3)一方、人は「自己防衛本能」である「自分さえ生き残れば良い」という「利己主義」とも言える欲望を、みんな誰もが持っている。
他方、人は「誰かの役に立ちたい」という「利他的な精神」も、持ち合わせている。
すなわち、「利己主義」と「利他主義」のバランス感覚が大切となる。
しかし、「無意識の自分」だけに依存して生きていると、ややもすると「利己主義」的な考え方になり易い。
そこで、意識的に自分以外の「相手」のことを思うことが、重要になって来ると考えられる。
(4)この「相手」のことを思うことが、「相手」の「価値観」を知ることに繋がって来る。
この「相手」の「価値観」は、相手の個性を形成している。
自分を知り相手を知ることが、現在日本の「ストレス社会」を生き抜くために大切になっていく。
(5)最後に、強い「ストレス」がどうして生じるのかを説明したい。
最初に生じ易いのが、人間関係のこじれによる強い「不満」(「怒り」)である。
四苦八苦という言葉があるが、最初の四苦とは「生老病死」を意味しているが、後の四苦の内の一つが、「怨憎会苦」(おんぞうえく)である。
これは、「怨み憎しむ者に会うことが苦しい」ことを意味している。
この時、「自分は正しく、相手は間違っている」という思いにより「怒り」が生じる。
そして、これが強い「ストレス」となって、日々その者と会うことが苦痛となり、この強い「ストレス」が蓄積されて行くことになる。
この時に、怨み憎しむ相手の「価値観」を知ることが、自分の「ストレス」を緩和して行く第一歩となる。
3.自分と相手の価値観を知って、将来どんな時に役立つのか?
(1)現時点で人間関係において不満が無いのだから、自分にとっては無関係だと考えるかも知れない。
そう思う気持ちは、良く理解できる。
しかし、自分の遠い過去(小学校低学年頃)から現在までを振り返ってもらいたい。
強い不満という程で無くとも、不満を抱いた人物が、自分の人生の過去において、少なからず何人かいたのでは無いだろうか?
相性というものがあり、その相性が合う人や相性が合わない人がいたと思われる。
仮に、その人を「Aさん」と呼ぶことにする。
(2)学生時代は、相性が合わない人(「Aさん」)がいたとしても、あまり支障をきたさない場合がある。
学生時代は、相性が合う人となるべく一緒に過ごすことが可能である。
しかし、社会人になると、状況は変わって来る。
相性が合わない人が、同僚や上司、お得意様だった場合、顔を合わさないようにすることは難しい。
(3)社会人になった現時点で、相性の悪い人や嫌いな人が、身近にいないことは良かったが、それは単に「運が良かった」だけのような気がする。
今後の自分の人生には、色々なことが起き得る。
仕事上では、自分の職場の異動、直属の上司の異動、同僚の異動、離職および転職など。
プライベート上では、恋愛、失恋、結婚、出産、育児、連合いとの死別および離婚など。
それは、自然災害(地震や台風など)での被災に似て、いつ、どのように遭遇するかは、全く予期できないのは、同じであると思われる。
人生には、「運が良い」だけが続くわけでは無く、「運が悪い」時も必ずやって来る。
(4)運悪く相性の悪い人に遭遇して、日々その人に会わなければならない時に、自分と相手の「価値観」を知ることが役に立って来る。
それは、「嫌いな人」(「Aさん」)を好きになるためでは無い。
「嫌いな人」と、仕事上でもプライベート上でも、必要な話をすることが目的である。
相手の「価値観」が分かれば、その「価値観」に土足で踏み込みことをしないように注意していれば、その人と普通に話すことは可能である。
特に、「ストレス社会」で暮らして行く現在の日本人にとっては、大切なことである。
(5)ここで重要な視点が、ひとつある。
それは、「嫌いな人」から逃げることはたやすいが、いづれは、逃げれなくなる時が来るという事実である。
仮に、今「嫌いな人」が「Aさん」だったとして、その人から離れたい一心でその会社を離職しても、転職した先の会社でいつか「A´さん」に遭遇する可能性がある。
もちろん、「Aさん」と「A´さん」は、違う人ではあるが、自分にとっては相性が悪い「嫌いな人」であることは変わらない。
そのように、「嫌いな人」から一時的に逃げたとしても、長い人生では、逃げおおせ切れないことになる。
また、逃げ続けることは、自分が交流できる人々を、自ら狭めて行くことになり、身の回りの人達を少なくして、寂しい人生になって行くことになる。
4. 仕事上のストレス分析(厚生労働省 2014年3月12日の資料より)
(1)企業規模に関わらず「強いストレス」を感じる社員は、平均61%
(2)離職に繋がる「強いストレス」を感じる社員が、常に半数以上いる。
(1)ストレスの原因は、不満:不安=7:3で、不満の方が多い。
(2)上位3位:「人間関係」「仕事の質」「仕事の量」で、全原因の半分。
(1)男性の場合、「人間関係」に強い不満を持つのは、「20歳未満」と「60歳以上」
(2)男性は「若年者」と「高齢者」において、人間関係が難しくなる。
(1)女性の場合、「人間関係」に強い不満を持つのは、「20歳~59歳」
(2)女性の方が、男性より「人間関係」に強い不満を持つ割合が、各年齢層に渡って高い