強い「ストレス」を感じた人に着目して欲しいこと:強い「不満」(怒り)の場合 ・相手の「価値観」を知る
1.強い「ストレス」、特に強い「不満」(怒り)を感じたと気づいたら、何に着目すれば良いだろうか?
(1)自分の「価値観」を知る
(2)相手の「価値観」を知る
(3)自分自身の中に「怒り」の原因を探す
(4)「思い通りにならない」原因を自分の中に探す
次に、『相手の「価値観」を知る』の内容を説明する。
2.強い「ストレス」は、どうして発生するのだろうか?
(1)自分の「価値観」の中に、相手から土足で踏み込んで来られるような言動があると、自分はその瞬間、強い「不満」(怒り)や「不愉快」な思いに襲われる。
同様に、相手の「価値観」に、自分が踏み込んだ言動を行うと、相手はどのような感情が湧きおこるか、容易に想像できると思う。
それは、「怒り」の感情である。
(2)自分が相手の言動に「怒り」を覚える時は、強い「ストレス」が生じる。
ただし、相手が急に怒り出した時に、自分に全く身に覚えがない場合、自分も相手に「怒り」の感情が発生して、やはり強い「ストレス」となってしまう。
・この場合、自分が「相手の価値観」を知らなかったことによって、相手も自分も不要な強い「ストレス」が生じている可能性がある。
3.相手の「価値観」が分かると、どうなるのか?
(1)相手の「価値観」を分かっていると、不用意に相手を怒らせることが無く、自分はそれを避ける方法が分かっていることになる。
相手の怒りを全て無くすことは、もちろん不可能だが、相手を怒らせない方法を知っていることになる。
そのことは、以前突然相手が怒り出したケースが、今後は自分の言動を意識するだけで、その頻度が減って行くことを意味している。
(2)自分の「個性」を形成する「価値観」を周りの人達に認めて欲しいと思うならば、まず相手の「個性」や「価値観」を認めて行くことが重要である。
自分の「価値観」は認められたいが、相手の「価値観」は認めたくないということは、世の中では通用しない理屈である。
まず、相手の「個性」を尊重していくことが、肝要である。
つまりは、相手の「価値観」を尊重することに他ならない。
そして、そういう意識を持てば、自然と相手を怒らせないことに繋がっていく。
相手の怒りが少なることは、とりもなおさず自分の「ストレス」も軽減されていく。
4.相手の「価値観」を知ることは、何を意味するのか?
(1)相手の「価値観」に気づいた後は、自分との「価値観」との相違に気づくことが大切となる。
つまり、自分と相手とは、「価値観」が異なっていることを認識してもらいたい。
・「好いている人」と「自分」、「嫌い人」と「自分」さらに「好いている人」と「嫌いな人」の全てにおいて、「価値観」は異なっている。
・このことから、「価値観」は個々の人毎に変わっているということ、そして自分の「価値観」は現在地球上に生きている70億~80億人の中で、同じものは無いということを理解する。
(2)自分と全く同じ「感じ方」「考え方」「判断基準」の人は、この世の中に居ない。
・違う言い方をすれば、自分と他の人とでは、例え同じ経験をしても「感じ方」は違っていて当たり前であるということ。
さらに、自分と他の人とでは、例え同じ課題を与えられても「考え方」は違っていて当たり前であるということ。
当然、自分と他の人とでは、例え同じ状況下であっても「判断基準」が違っているので、その「行動」は違ってくるということ。
・自分と違うことを、本当の意味で「当たり前」と認識することは、簡単では無い。
しかし、身近な人の「価値観」を類推すること、その人達の「価値観」を尊重すること、を実際に体感していく中で、少しずつ「違っていて、当たり前」が腑に落ちていく。
5.どうすれば、相手の「価値観」を知ることが出来るだろうか?
・興味のある方は、以下の方法を試して欲しい。
「カードソート」を使って、自分の「価値観」を見つけた方法と同様に行う。
15の項目が書かれた日本マンパワーが開発した「バリューカード」を用意する。
・まずは、「価値観」を類推する相手を、誰にするかを特定する。
この時、自分がその相手を「好いている人」と、「嫌いな人」を選ぶと類推しやすい。
「好いている人」と「嫌いな人」は、両極端に思うかも知れないが、むしろ類推が難しいのは、自分にとって関心が薄い人(「無関心な人」)である。
理由は、「好いている人」も「嫌いな人」も、どちらも自分にとっては関心が高く、良く観察しているからだと思われる。
むしろ、「無関心な人」は、どういう人なのかを分かっていないことが多い。
・相手の人を特定したら、その相手が大切にしていると想像するカードを3枚選ぶ。
自分の「価値観」の場合は5枚のカードを選んだが、他人の場合は5枚選ぶのは難しいと判断して、3枚にした。
もちろん、3枚では少ないと感じた場合は、4枚・5枚を選ぶことは問題ない。
・15枚のカードは、自分の「価値観」の場合と同様で、以下の通りである。
- 他者への影響力
- 権威/責任
- 社会的評価
- 報酬と豊かな生活
- 安全性/安心感
- プライベートの時間
- 身体的活動
- 協調性
- 自立性/自律性
- 公共性/公益性
- 多様性
- 個性の発揮
- 美的追求
- 秩序/完璧性
- リスク/冒険性
・カードソートで選んだ3枚のカードから、自分なりの言葉に翻訳し直して、200字以内に相手の「価値観」を書いてみる。
この時は、箇条書きでも文章でも、どんな表現でも構わない。
公表したり、誰かに見せたりはしないので、自分に取って一番しっくりくる表現が望ましい。
・その後、自分自身で直ぐに思い出せるように、50字以内に要約して行く。
この時は、枝葉を極力省き、「幹」だけ残す感じで要約する。
要約した「言葉」が、相手の「価値観」となる。