「ストレス」のまとめ‐3:「感情」や「直観」と脳の働き
1.大脳全体として描画すると下記の様な形になる。
2.大脳の仕組み
大脳は、「新皮質」と呼ばれる進化の過程で新しく手に入れた外側の部分と、「大脳辺縁系」や「大脳基底核」と呼ばれる古くからあった内部の部分から、構成されている。
・「新しい脳」:「新皮質」や「小脳」
・「古い脳」:「大脳辺縁系」・「大脳基底核」・「間脳」(視床)・「脳幹」(橋・延髄・脊髄)
3.「新しい脳」である「新皮質」で、特筆すべき能力は、以下の通りである。
・「内省」=「メタ認知」:今の自分の思考や行動を客観的に理解し、自分自身の思考や行動を把握する能力。
・「未来予測」:日常のあらゆる場面で、未来を想像できる能力。目標志向的な行動を支えている。
・「感情の抑制」:他者との関係から、感情をそのまますべて表現しないように抑制する能力。他者の立場に立って考えられる「共感」できる能力。
4.「古い脳」の「大脳辺縁系」や「報酬系」で、「快」・「不快」や「好き・嫌い」の感情が生まれている。
・「古い脳」の「大脳基底核」の「尾状核」で、「直観」的思考が生まれている。
5.感情の発信源が「古い脳」であり、それをコントロールするのが「新しい脳」という具合に分担している。
・ここで大事なことは、「快」・「不快」や「好き・嫌い」の感情が、最初は本能によって判断されているが、その後多くの経験を経た学習によって、その判断基準が変化していくことである。
6.自分自身が今、何を好きだと思い、何を嫌いだと思っているのかを、はっきりと自覚している人は、稀である。
自分自身の中で、基準が少しずつ変化して行く「好き・嫌い」を、現時点ではっきりと認識しておくことは、今後の自分の行動にとって重要であると考えられる。
・自分の言動の中で、自分の「好き・嫌い」を現時点ではっきりと認識しておけば、以下のような展開が望める。
①「好きな言動」からストレス発散のための方法を見つけ出しやすい。
②「好きな言動」の中で、特に一つ選んでそれを伸ばせれば、自分の大きな「強み」となりうる。:「好きこそ物の上手なれ」ということわざがある。
③「好きな事」から、これから自分が「やりたい事」を見つけることが可能になる。
④「嫌いな言動」が分かれば、全てを自分自身で克服するよりも、その内の一部を自分の周りの中で得意な人にお願いすることが可能になる。
7.「正の感情」と「負の感情」を考えてみる。
①「正の感情」:楽しい・喜ぶ・感動する・安心する・誇りに思うなど
②「負の感情」:不満・憎い・不安・悲しい・恥ずかしい・みじめ・つらいなど
多彩な感情の種類があるが、主に次のような比喩でそれぞれ現される。
①「正の感情」:車の運転では、「アクセル」
②「負の感情」:車の運転では、「ブレーキ」
車で、「アクセル」と「ブレーキ」の機能が無ければ、運転は不可能である。
人にとっても、全く同様である。
8.「直観」的思考は、一朝一夕にはいかず、何回も繰り返す学習によって、「直観力」が磨かれていく。
すなわち、「直観力」が磨かれていくと、「自問自答」によって、非常に短時間に自分が欲しい回答を、かなりの正確さで得られることになる。
暮らして行く上で、これほど頼りになる助けは無いと言える。
9.「直観力」を磨くことで、何が得られるのかをまとめてみる。
(1)「自問自答」を、自由自在に活用することが可能になる。
自分が必要とする時に、自分が欲しいと思う解を、直ちに得ることができる。
(2)ストレスを溜め込まずに済むので、精神的には楽になる。
(3)失敗を恐れることが薄れる。失敗に気づけば、修正できることを体感できる。
10.「直観力」を磨くことで、「自問自答」が自由自在にでき、自分の人生に活用することが出来る。
「直観力」を磨くことは、現在の日本での「ストレス」社会を生き抜くためには、欠かせないと考える。