「甘え」に気づく
1.「甘え」に気づければ、どうなるのか?
・「甘え」は、基本的には自分の「わがまま」であり、かつ全て相手に依存している状態である。
自分が相手に対して「甘えた」時には、誰でも気づかないのは致し方がない。
しかし、その後、自分の言動を振り返る機会があれば、自分の「甘え」に気づくことは可能となる。
・自分の「甘え」に気づいた時の相手に対する心境は、「迷惑をかけたな」に近い気持ちが、ごく自然に湧きおこって来る。
それは、自らは行動せずに、自分の「わがまま」をきいてもらったという感覚があるからだと思われる。
・そして、しばらくは相手に「甘える」行為を控えるようになり、少しずつ「甘え」が減っていく思われる。
ただし、「甘え」が全く無くなる訳ではないと思う。
それは、誰かに「甘えたい」という欲望が、必ず残っているからだと思われる。
2.「甘え」を、どうすれば気づけるようになれるだろうか?
・まず、「甘え」が生じた時の自分の言動を、考えてみよう。
(1)誰かに「自慢話」をした。または、相手が知らない事を、さも自慢げに話した。
相手に自分を認めて欲しいという「承認欲求」に突き動かされている状態である。
(2)都合の悪い事態になった時、ふと周りの相手に「期待」していることに気づく。
誰かに「期待」する行為自体が、基本的には「甘え」であり、相手に依存している。
(3)相手に対して、「怒り」を発した。または、長い時間「説教」をした。
「説教」は、基本的に自分の考えが正しく、相手の考えを変えようとする行為であり、それは「怒り」の感情を覚えた時の感覚と全く同じである。
(4)自分の言動に対して、相手が「怒り」を発して来た。または、相手は黙っていたが、「不服」そうな表情を浮かべていた。
自分自身は怒った言動をしていないと思っていても、自分の表情や仕草から、相手に「怒り」の感情が伝わっている。すなわち、「怒りの連鎖」が生じていると思える。
特に、相手の表情に「不満」の色が見えるのに、黙っている状態は深刻である。
相手は、自分に「恨み」の感情を抱いている可能性が高い。
この「恨み」は「怒り」以上にやっかいであり、「怒り」の場合より「強いストレス」を相手に与え、「深く」「長く」相手の記憶に留まることになる。
場合によっては、恨まれた相手から、復讐されることも覚悟する必要がある。
・以上のように、自分の言動を振り返れば、自分の「甘え」に気づけるチャンスはある。
3.精神的成長と「甘え」の気づき
・誰もが、幼少期・青年期(学生時代)を経て、大人になって行く。
これは、人の肉体的成長と呼応していて、目に見える変化であり、分かり易い。
・一方、人の精神的成長は、どう考えれば良いだろうか?
まず最初に、両親からの精神的な独立心が芽生え、確立して行くことが考えられる。
それは両親に精神的に依存せずに、判断・行動できるかどうかがポイントになるかも知れない。
・しかし、社会人となり、親元を離れて金銭的な独立を実現しただけでは、十分とは言えないと思われる。
両親だけでなく、自分の周りの人達に対して、精神的な独立、つまり周りの人達に対しても精神的に依存しないことが、求められるように思われる。
・ところで、自分の中にある「甘えたい」という欲望は、幼少期だけに限らず大人になっても絶えず残っている。
そして、「甘え」自体は、他の人達への「依存」である。
・そこで、注目したい点は、自分の「甘え」に気づけたかどうかである。
「甘え」の気づきが、精神的成長の大きなターニングポイントになると思う。
自分の「甘え」に気づければ、自然と「甘え」は減って行くと思われる。
4.抑制している自分の「甘え」に気づく
・仮に、幼少期・青年期(学生時代)に、両親から「甘える」ことは良くないとして 躾けられると、自分自身で「甘え」を抑制してしまうことがある。
自分が、無意識に「甘え」を抑制していることに気づかず、大人になることがある。
・その場合、親しい人が「甘える」ことに、強い「不快感」や「怒り」を覚えることがある。
そういう場面が多々ある時には、自分が「甘え」を抑制していることを疑ってみることを勧める。
・本来、安心できる居場所を探ることは、マズローの5段階欲求説の「安全欲求」であり、根源的な欲望である。
また、他者と関わりたいという中で、親しい人に「甘えたい」という欲求は、「所属と愛の欲求」であり、ごく自然な欲望と言える。
・「甘え」を抑制することで、「甘える」頻度を少なくすることは、本来人間が持っている「生き延びようとする」自己防衛本能に逆らっていると思える。
自分が「甘え」を抑制して生きて来たと感じた場合は、まずは自分の中にある「甘え」を開放してみることが肝要だと思う。
・その後、徐々に自分の「甘え」に気づき、減少させていく。
廻りくどいようだが、自分自身が誰かに「甘えた」経験がないと、相手から「甘えられた」時に相手を拒絶したり、相手に「怒り」を発することになる。
ところが、自分自身が誰かに「甘えた」経験があると、逆に相手の「甘え」を許容できるようになっていく。
『「甘え」に気づく』のまとめを、以下に書いてみる。
「甘え」に気づければ、少しずつ「甘え」は減って行く。「甘え」の気づきが、精神的成長の大きなターニングポイントになる。抑制している自分の「甘え」に気づくことも、大きなターニングポイントとなる。 |