「甘え」の功罪
1.「甘え」による良い点
(1)相手の言動が、自分の期待通り、またはその期待を上回った場合、より親密さや信頼は増していく。
(2)自分は相手を信じて頼りにするようになり、さらに期待通りの頻度が多くなるに連れて、信頼度は増して強い絆となっていく。
(3)ただし、上記の頻度は少ないかも知れない。その最大のポイントが、自分の「甘え」は、相手のことを考えずに自分にとって都合の良い期待であるから、相手の言動が期待通りに行かないことが多いためである。
2.「甘え」による悪い点
(1)最初の悪い点としては、「怒りの連鎖」が起きやすいこと。
・自分が相手に「甘え」を生じやすいという状態は、相手も自分に「甘え」やすい状況があると想定される。
・この場合、お互いがお互いに、各々自分の都合の良い期待を抱き合っている。
そして、どちらかが相手に「不満」の感情をぶつけると、それ以上の「強い不満」(怒り)の感情が相手に生じることがある。これが、「怒りの連鎖」である。
・この場合、両者ともに「強いストレス」が生じる。また、当事者同士で収拾することが難しい場合もある。「親子喧嘩」や「夫婦喧嘩」が分かりやすい例となる。
(2)次の悪い点としては、「パワーハラスメント」が起きる場合があること。
・「パワーハラスメント」とは、「優位性を背景に、業務上必要のない行為により、相手に身体的・精神的苦痛を与えること」である。
・何らかの理由により、自分の中で不安な気持ちが生じると、上位者が下位者達に対して、不適当な言動で相手を強く叱責する場合がある。
・これも、上位者の下位者達への「甘え」と捉えることができる。この時、上位者は自分の都合の悪い状態を、下位者達に責任を転嫁して叱責していることになる。
つまり、上位者は自分の都合の良い状況を作り出すことを、一方的に下位者達に期待しているからに他ならない。
・この場合、両者に「ストレス」が生じるが、特に下位者の中で「強いストレス」が生じることがある。「上司部下」の関係で起きやすい。
(3)最後に気づく悪い点としては、組織の「トップ」で起きやすいということ。
・組織の「トップ」の例としては、天下統一した後の豊臣秀吉が挙げられる。
木下藤吉郎の時代は、軍師である竹中半兵衛や黒田官兵衛の意見を良く聞き、その案を採用して実践することで、天下を獲ることができた。
・しかし、天下を獲った後は、自分を束縛するものが無くなり、際限なく「周りの人達」に「甘え」を実践したと言える。
・この場合は、トップ以外の組織内の人達全員に、強弱の別はあっても「ストレス」が生じることになる。
・組織の「トップ」としては、現在の日本でも「総理大臣」や「企業の社長」なども同様であり、その意味では意識して注意する必要があると言える。
ただし、昔から名君の誉れ高い「トップ」がいたことも事実である。
従って、組織の「トップ」に起きやすいが、必ず起きる訳では無い。
『「甘え」の功罪』のまとめを、以下に書いてみる。
「甘え」による良い点は、親密さや信頼が増すことである。そして、悪い点の現象としては、「怒りの連鎖」や「パワーハラスメント」などがある。 |