「甘え」の本質
1.どんな時に、「甘え」が発生するのか?
(1)自分が、相手をどう捉えているかが、ポイントである。
・自分が、相手と親しい間柄であると感じていれば、甘えが発生する。
・相手と自分が、長い間の顔見知りであったり、同じグループにいるだけでも、時により甘えが生じる場合がある。
(2)さらに、自分がこれから相手とより親しくなりたいと思っている時には、特に甘えが生じやすい。
(3)特に、甘えが発生しやすい関係は、具体的に以下の場合が考えられる。
・親子・兄弟姉妹・夫婦・恋人・友人・先輩後輩・上司部下・CDAクライエント等の関係は、甘えが発生しやすいと考えられる。
(4)また、自分が相手のために、一生懸命努力したり、尽くしているという気持ちがあると、ごく自然に甘えが発生する。
2.どうして、「甘え」は発生するのか?
「プライベート」:趣味 「プライベート」:家庭 「仕事」:職場
縦軸:「不安の度合い」 数値が高い程:「安心出来ない」 低い程:「安心出来る」
上図は、「不安」「安心」と居場所の関係を示している。
この例では、以下のようなケースとなっている。
①「仕事」:職場にいる頻度が一番高いが、安心できない、不安な場所である。
②「プライベート」:家庭の頻度は2番目だが、一番安心できる場所である。
③「プライベート」:趣味の頻度は一番少ないが、やや安心できる場所である。
(1)この例では、一番安心できる場所である「プライベート」:家庭で、自分にとって話しやすい相手に対して、「甘え」が発生しやすくなる。
(2)このグラフは、あくまでも或る時期の自分の感じ方を示しているだけであり、時間とともに変化していく。
(3)人は常に自分にとって「安心できる」居場所を探し求めていると言える。
(4)そして、その居心地の良い居場所で、甘えられる人を見つけ、機会ある毎に無意識にその相手に「甘え」を発生させていると考えられる。
(5)従って、「甘え」を全く無くすことは、不可能に近いと思われる。ただし、「甘え」の頻度を少なくすることは可能だと思う。
3.「甘え」の本質とは、一体何か?
(1)「自分が好む状態」へ、そして「自分が快適な気持ち」になるように、相手を「コントロールしようとする欲望」と考えられる。
(2)相手との関係が、「親密である」または「長い付き合い」であるという理由だけで、相手に一方的に期待することになる。
(3)それは、基本的に自分の「わがまま」であり、相手もその期待に応えてくれるという全く根拠の無い「思込み」と言える。
4.「わがまま」とは何か?
「わがまま」を、明鏡国語辞典で調べてみる。
・他人のことは考えないで、自分の思うままにすること。
(1)「他人のことは考えない」とは、「相手に対して一方的」だという状態である。
(2)「自分の思うままにする」とは、「自分にとって望ましい状態」や「自分が快適になれる」ように行動することである。
『「甘え」の本質』のまとめを、以下に書いてみる。
「甘え」とは、「自分のわがまま」である。そして、相手に一方的に期待して、相手もその期待に応えてくれるという根拠の無い「思い込み」である。 |