2020.3.3
「マズローの欲求5段階説」と「感情」について

「マズローの欲求5段階説」と「感情」について

「マズローの欲求5段階説」

1943年:アブラハム・マズローが発表

                       

1.「マズローの欲求5段階説」の説明を、以下に書いてみる。

(1)基本的欲求から生まれる欲望は、決して悪ではない。

(2)欲望を抑えるよりも、引き出して満たした方が、より健康的になり、より生産的になり、より幸福になる。

(3)「承認欲求」~「生理的欲求」は、「欠乏動機」である。→満たされないと病気になる。→満たすのは「本人以外の別の人」だけであり、「外部環境に依存」することになる。

(4)「自己実現欲求」は、「成長動機」である。→自分自身の成長に集中する。→欲求を満たしていけるのは「自分」だけであり、「自律的」「独立的」である。

(5)承認欲求が満たされる→「世の中の役に立つ存在」だと感じることが出来る。

(6)承認欲求が満たされない→「劣等感」・「焦燥感」・「無力感」を感じることになる。

                       

2.ここで、現在の日本人との関連をを考えてみる。

(1)現在は、SNSなどの普及により、これまで以上に「承認欲求」が強くなって来ていると想定できる。

「他者から自分の価値を認められたい」という欲望が強くなっている。

(2)一方、「生死」に関わる「生理的欲求」を満足したいと思う人の割合は、随分と減って来たと思われる。

「狩猟採集時代」では、この「生理的欲求」が強かったと想定できるし、「農業革命」後でも江戸時代まで、気候の不順(冷夏など)により飢饉が発生した場合は「生理的欲求」があったと想定される。

また、農業(第1次産業)は一人で出来る事は少なく、農村での農民の集団による影響力が非常に大きかったと考えられるので、「生理的欲求」「安全の欲求」「所属と愛の欲求」があったと想定される。

(3)しかし、明治時代の後半に「産業革命」が本格化(第2次産業)し、昭和に入って太平洋戦争の敗戦後に「第3次産業」に従事する者が急増し、現在では7割を占めている。

「狩猟採集」、「農業」や「工業」と異なる「第3次産業」では、業務を行う上では「グループ」より「個人」に着目されることが多くなって来ているように思える。

つまり、「承認欲求」を求めるのは、より低次の欲求である「所属と愛の欲求」や「安全の欲求」が脅かされているように感じる人が増えて来たのではないかと推察される。

と同時に、日本の伝統文化は継続しているものの、全体としては欧米文化の影響を色濃く受けていることと相まって、「他者から自分の価値を認められたい」という「承認欲求」が強まっているように思える。

                         

3.「マズローの欲求5段階説」と「感情」について

「マズローの欲求5段階説」と「プラスの感情」「マイナスの感情」を示す図を示す。

(1)上図のように、「感情」の背景には、「欲求」(欲望)があることが理解できる。

通常、認識し易いのは「感情」であるが、それは「欲求」(欲望)と密接な関係があることが読み取れる。

(2)「安全欲求」が満たされないと、「不安」「恐れ」(恐怖)の感情を抱く。

(3)また、「所属と愛の欲求」が満たされないと、「不満」「怒り」の感情を抱きやすい。

(4) さらに、「承認欲求」が満たされないと、「劣等感」や「コンプレックス」を抱くことになる。

(5)低次の欲求である「安全欲求」が満たされない時(「不安」や「恐れ」を感じた時)、その逃避行動が現れる場合がある。

より高次の「所属と愛の欲求」のマイナスの感情である「不満」「怒り」を、生じる場合がある。

「不満」「怒り」の感情が生じた場合、興奮が収まった後に、「不安」や「恐れ」が自分自身にあったかどうか振り返ることは、有効である。

(6)また、低次の欲求である「安全欲求」が満たされない時(「不安」や「恐れ」を感じた時)、さらに高次の「承認欲求」が現れる場合もある。

急に自分の自慢話を始めたり、パワーハラスメントのような言動を行い、自分の価値を相手に認めさせたくなる。

                    

「マズローの欲求5段階説」と「感情」のまとめを、以下に書いてみる。

現在の日本人は、「マズローの欲求5段階説」の「承認欲求」が強くなって来ている。「感情」と「欲求」(欲望)とは密接な関係がある。