「脳の仕組み」と「感情」
1.「脳の仕組み」で、まず「新しい脳」の「前頭連合野」(前頭前野)には、感情を抑制したり、「共感」できる能力を持っていることを考えてみる。
そして、「古い脳」の「大脳辺縁系」や「報酬系」で、「快」・「不快」や「好き・嫌い」の感情が生まれていることを考えてみる。
これは、感情の発信源が「古い脳」であり、それをコントロールするのが「新しい脳」と言うことを意味している。
2.しかし、ここで大事なことは、「快」・「不快」や「好き・嫌い」の感情が、最初は本能によって判断されているが、その後多くの経験を経た学習によって、その判断基準が変化していくことである。
生まれた時、赤ちゃんの味覚は、「甘い」ものを好んで食べるが、それ以外の味覚の物は避けて食べようとしない。
しかし、大人になるにつれて、味覚の好みは大きく変化していくことが、例の一端となる。
これは、「快」・「不快」や「好き・嫌い」の感情が、環境の変化に伴い、適応できる能力を秘めていることになる。
すなわち、感情の発信源である「古い脳」と「新しい脳」である「前頭連動野」(前頭前野)が連携して、環境に適応しようとしている。
3.一方、自分自身が今、何を好きだと思い、何を嫌いだと思っているのかを、はっきりと自覚している人は、稀である。
自分自身の中で、基準が少しずつ変化して行く「好き・嫌い」を、現時点ではっきりと認識しておくことは、今後の自分の行動にとって重要であると考えられる。
4.自分の言動の中で、自分の「好き・嫌い」を現時点ではっきりと認識しておけば、以下のような展開が望める。
①「好きな言動」からストレス発散のための方法を見つけ出しやすい。
②「好きな言動」の中で、特に一つ選んでそれを伸ばせれば、自分の大きな「強み」となりうる。:「好きこそ物の上手なれ」ということわざがある。
③「好きな事」から、これから自分が「やりたい事」を見つけることが可能になる。
④「嫌いな言動」が分かれば、全てを自分自身で克服するよりも、その内の一部を自分の周りの中で得意な人にお願いすることが可能になる。
5.「正の感情」と「負の感情」を考えてみる。
①「正の感情」:楽しい・喜ぶ・感動する・安心する・誇りに思うなど
②「負の感情」:不満・憎い・不安・悲しい・恥ずかしい・みじめ・つらいなど
多彩な感情の種類があるが、主に次のような比喩でそれぞれ現される。
(1)「正の感情」:車の運転では、「アクセル」
(2)「負の感情」:車の運転では、「ブレーキ」
車で、「アクセル」と「ブレーキ」の機能が無ければ、運転は不可能である。
人にとっても、全く同様である。
この地球上で、生き残るためには、必要不可欠なものと考えられる。
とかく「正の感情」だけを望み、「負の感情」を避けたがるが、今一度考え直す必要がある。
「負の感情」でつらい気持ちになるかもしれないが、それを「自問自答」で乗り越えれば、道が開ける。
自分の「好き・嫌い」を自覚して今後の行動に活かし、「正の感情」だけでなく「負の感情」にも目を向けていく。 |