「古い脳」の大脳辺縁系や報酬系と「感情」
大脳全体として描画すると上記の様な形になる。
まず、大脳は、「新皮質」と呼ばれる進化の過程で新しく手に入れた外側の部分と、「大脳辺縁系」や「大脳基底核」と呼ばれる古くからあった内部の部分から、構成されている。
新しい脳:「新皮質」や「小脳」
古い脳:「大脳辺縁系」・「大脳基底核」・「間脳」(視床)・「脳幹」(橋・延髄・脊髄)
古い脳(「「大脳辺縁系」」)を描画すると上記の様な形になる。
1.海馬
・タツノオトシゴのような形状をしている。
・海馬は、あくまでも短期的な記憶装置であり、後に整理され、大脳新皮質や小脳などの場所に保管されることになる。
・再びその記憶が必要になる時には、海馬を通して引き出されることになる。
2.偏桃体
・アーモンド型の形状で、海馬の先端にある15mmの器官。(扁桃:アーモンドの別称)
・「快」・「不快」、好き・嫌いや「恐怖」といった感情を作り出している。
・海馬からの記憶情報をまとめて、それが「快」か「不快」か(好き嫌い)を判断して、関連する部分に信号を送る。
・「不快」と判断した時、「青色核」(A6)と呼ばれる神経系に信号が送られる。
そこから、「怒り」の脳内物質である「ノルアドレナリン」が分泌される。
・更に、「恐怖」も伴う「不快」の場合、「アドレナリン」が分泌される。
・一方、「快」と判断した時、A9・A10と呼ばれる神経系に信号が送られる。
そこから、「快楽」の脳内物質である「ドーパミン」が分泌される。
その際、下図の「赤い矢印」のように、「新皮質」の「前頭連合野」(前頭前野)まで「ドーパミン」が放出されるが、その経路を「報酬系」と呼んでいる。
3.側坐核
・直径2mmの小さな器官。
・「やる気」(行動意欲)の脳と呼ばれている。
「新皮質」の「前頭連合野」(前頭前野)から、「何かはじめよう」と指令を受取ると、「側坐核」が「海馬」や「偏桃体」と連携し、それが好きなことであるかどうか判断し、やる気を出すかどうかを決める。
・「快」の時に「ドーパミン」が「側坐核」に放出されると、その原因となった行動を強化する。つまり、その行動を繰り返すようになる。
4.帯状回
・「行動の動機付け」に関係している。
何かを積極的に、「やる」「やらない」はここで決められる。
「古い脳」の「大脳辺縁系」や「報酬系」で、「快」・「不快」や好き・嫌いの感情が生まれている。